不登校の子どもは、「ことば」を探している

学校に行かない息子(娘)が何を考えているのか、さっぱりわからない。
我が子の不登校の窮状を訴える親御さんの姿は、いつ対応しても難しく辛いものがあります。自分が当たり前のように通っていた学校という場所に、自分の子どもが行きたがらないというのは衝撃的でショッキングなことだということは、安易に想像できます。
でも、だからといって「なんで何も言ってくれないの!」「言ってくれないとわからないよ!」と必要以上に責めて、無理やり子どもの気持ちを引き出すのは、タブーです。
それはなぜか。
子どもたちもまた、「自分の気持ちがわからない」からです。
自分の気持ちがわからないとはどういうことか。
わかりやすく言い換えるなら「自分の気持ちを言い表してくれる『ことば』」が、わからないのです。
辛い、しんどい、気持ち悪い、ご飯を食べたくない。自らの症状はことばにすることができても、その一歩先が難しい。なぜしんどいのか。学校に行きたくないのか。頭のなかで整理はついているけど、今の気持ちを的確に表す「ことば」を、子どもたちは持ち合わせていないわけです。
もしくは、それを持ち合わせていたとしても、たとえば非常に暴力的な表現だったり、ますます親を心配させてしまう表現になるかもしれない。その結果、子どもたちが着地するのは「わからない」という5文字であったり、無言を貫き通すことになるのです。
子どもたちにとって「わからない」と言う表現は、実に便利なことがわかります。
そして、そんな子どもたちの「わからない」という表現や無言のアピールには、こういった裏側が隠されていることを、大人は案外見落としがちです。
僕自身も素直に気持ちを言い表せない子どもでした。
自分が今何を思っているのか、どういう気持ちなのかを尋ねられている。しかし「これ」という表現が思いつかない。「わからへん」と言えば、目の前の大人は構わず「わからへんって何!」と詰め寄ってくる。そこでパニックになって、たとえば目の前の机をドン!と叩いたりしてしまう。
すると「黙っててもわからへん」「机を叩いてもわからへん」などと、また叱られる羽目になる。
自分のなかでは、「(今の気持ちを表すことばが)わからない」という明確なアンサーが出ているわけです。それは考えても考えてもことばが出てこない、だから一緒に探してほしい、と言うメッセージも含まれています。
しかし目の前の大人は「(自分の気持ちが)わからない」と誤解して、さらに気持ちを引き出そうとする。ここに、子どもとの行き違い、齟齬が生まれてしまうのです。
そもそも答えを言っているのに「それじゃわからない」と言うのは、もはや大人のわがままのようなものであると思います。その結果、わからないという気持ち、わからないという表現の裏に隠された気持ちを理解してもらえないんだ、と失望のような気持ちを抱えることもありました。
ハッキリ言って、子どもに限らず自分の気持ちを100%いつでも表現できる人のほうが少数派です。大人でも、今の自分の気持ちを問われて「わからない」と思うことはけっこうあります。つまり、今の気持ちを問われて「わからない」という返答が来るのは、ごくごく自然なものではないでしょうか。
ならば、そんな子どもたちに、大人はどう関わるべきなのか。
まずは、「わからない」ということばを、受け入れる必要があります。
わからないものは、わからないのです。だから、いったん子どもの「わからない」という気持ちを飲み込まないと、「わからない」「それはどうして」「わからない」・・・のいたちごっこが、永遠に続きます。
そのうえで、「今言いたくないから」わからないのか、「言うとまずいと思うから」わからないのか、「ことばが見つからないから」わからないのか、いくつか選択肢を提示するというのも、ひとつの手だと思います。ここまで説明してきたとおり、「わからない」は様々なニュアンスが含まれることばです。
今言いたくないのなら、無理に聞かずに「言いたくなったら教えて」と待つこと。言うとまずいと思うのなら、どんな表現が出てきても受け入れることが鉄則。ただし、ここで暴力的な表現が出たときは「その表現を使わざるを得ないほど辛い気持ちを抱えている」ことに対して寄り添うことが重要です。
そして、ことばが見つからないのなら、いっしょに「ことばを探す旅」に出るのも良いでしょう。「ことばが見つからないから、わからない」と匙を投げる前に、いっしょになって考えるということは非常に大切です。それが子どもとの関わりの第一歩になることも、あります。
もちろん、すべてにおいて共通するのが「待つ」ということ。「これでしょ」「あれでしょ」と次々決めつけるのはよくありません。子ども自身のペースでゆっくりとことばを紡ぐ作業を、どうか暖かく見守ってあげてください。
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